小耳症のお耳の形成手術について
お耳が小さく生まれた小耳症のお子さんは、適齢期になるとお耳の形を整える「形成外科手術」を受けることが出来ます。片方の耳の場合は、もう片方の耳に合わせた形で(似せて)形成術を行います。両方の耳のお子さんは、ご両親のお耳の形に似せて形成する病院もあります。
各病院によって違いがありますが、手術を行う適齢期は、現在は主に10歳前後で1回目の手術、その1年後に2回目の手術を行うことが主流となっています。3回に分けて手術を行う病院もあります。この形成術はお耳の形を整える手術で、外耳道は作らないため聴力に変化はありません。
形を作るのみのため、お子さんによっては「このままで良い」「今のお耳を気に入っている」「手術が怖いからしたくない」と言う理由で手術を受けない場合もあります。スポーツ(柔道など)を続けたいから手術を受けないという道もあります。形成手術を受けるかどうかは、ご家族での話し合い、お子さんの気持ち、両親の想い、色々なものを合わせて答えを導いていくしかありません。
もしも10歳前後で手術を受けなかったとしても、高校生や大学生になる頃あるいは大人になってからでも、自分の意思で手術を受ける方もいらっしゃいます。必ずしも道は1つしかないわけではありません。納得のいく選択が出来るよう、ご家庭で話し合われることが望ましいかと思います。
お耳の形成手術・我が家の場合
我が家の場合は、10歳のときに1回目の手術、11歳のときに2回目の手術を行いました。しかしながら、すんなりと手術を受けたわけではありません。私が小さなときから「かわいいお耳だね、大好きだよ」と言って育ててきたためか、9歳になっても「手術は受けない」「このお耳を気に入っている」と言い続けていました。
*小耳症手術の時の体験談はこちらにまとめてあります
手術はしたくない、と言っていた小学4年生の時、親が手術を考えている病院で初診を受けました。その時、手術を受ける病院で、入院施設(実際に入院する病棟)を見学さえてもらえる機会がありました。病室やベッドの様子、病棟の待合室(談話室)などを見学させてもらっているときに、たまたま入院中の小耳症のお子さん達が遊んでいるところに出会いました。男の子達3人ほどが、楽しそうにおしゃべしながら仲良く話しているのを見て、子供の顔が何か変わりました。その後、「入院しても良いよ」と言い出しました。
実際に入院する場所を見て、自分の入院する様子を想像することができるようになり、不安や恐怖が薄れたんだと思います。
何より大きかったのが、同じおみみちゃんたちの姿を見て、こんなに仲間が居るんだ、同じ仲間が楽しそうにしている、と感じたことだと思います。それまで抱えていたわけの判らない不安が、現実的で前向きな世界に生まれ変わった瞬間です。
もしも、手術を受ける年齢になっても、手術を受けたくないと言うのなら、本人が手術したいと思えるときまで延ばしていいと思っていました。10歳前後の子供の意思を尊重するのには、親としては勇気がいりますし、できれば小さいうちに手術をさせておきたいと望むかと思います。
でも、手術を受けて痛い思いをするのも、学校を長期間休んだりお友達と離れて入院するのも、子供のがんばりがないと難しいものです。手術を受けた後に「受けてよかった」と思えるように、お子さんの性格や環境、そのときの精神状態などをしっかりと見つめて、手術を受けるかどうか考えていければと思います。
お耳の形成手術をした感想
実際、我が子は小耳症の形成手術を受けることにして、今は手術を受けてよかったと言っています。でも、それが全ての人にとっての最良の方法では決して無く、たまたま我が家の場合は手術を受けることが最良でしたが、もしもあの時手術を受けていなかったら、手術を受けなかったから得られる何かがあったのかもしれません。自分達家族で、こどもにとっての幸せな道を探してください。
*小耳症手術の時の体験談はこちらにまとめてあります
*あくまで個人の見解となりますので、こういう考え方もあるんだという参考程度にお考え下さい。