小耳症の手術について
小耳症で行う手術にはいろいろなものがあります。皆さんが考えるのは、お耳の形成手術だと思います。お耳の形成手術は主に9歳以上のお子さんが行う手術になります。お耳の形成手術以外にも、外耳道形成手術や、副耳を取り除く手術など、お子さんの状態によってすべき手術にも違いがあります。
今回は、我が家が行った小耳症の耳介形成手術にについて情報を共有します。
・手術した病院・・札幌医科大学附属病院 形成外科 四ッ柳先生
・時期・・小学5年生で1回目、小学6年生で2回目
・術式・・肋軟骨を耳に移植して形成する方法。1回目の手術で移植、2回目の手術で立ち上げ。
・期間・・1回目 30日。2回目 25日。
・手術時間・・4時間程度
・1回の入院のためにかかった総費用(旅費・宿泊費含)・・49万円(別ページに内訳があります)
・学校を休んだ期間 1回目1か月(9月まるまる) 2回目1か月(6月中旬から夏休みまで)
・手術の当日の流れ
・手術の感想
それでは詳しく説明します。
小耳症の形成手術した病院
小耳症の耳介形成手術は、わが子は札幌医科大学附属病院の形成外科にて、四ツ柳先生によりお願いしました。東京から札幌へ受診しての入院になりましたので、旅費や付添人の宿泊などさまざまな準備が必要でした。
付添人の宿泊施設についてや、入院時に準備するものについては別のページでご紹介しています。
小耳症の形成手術した時期
1回目が夏休みから9月、2回目が6月~7月の夏の間になります。札幌医科大学付属病院では、1回目と2回目の手術の間は最低でも6か月はあけるようです。夏休みの入院予約はいっぱいでなかなか取りづらく、初診が早かった方から優先的に夏休みに入院できます。
わが子は初診が遅かったので、夏といっても6月や9月にかかっており、小学校はどちらも1か月ほど休むことになりました。
夏休み期間に入院が重なると同じ年齢のお子さんが多くなり、入院生活はにぎやかになります。子供同士でゲームをしたりお絵描きをして楽しくなるかと思います。入院時期がずれると(11月など)、大人の方の手術が多くなり、子供同士で遊ぶ機会が少なくなります。
大人の方でも小耳症の手術をする方はいらっしゃって、夏休みをずらして入院されているようです。ちなみに、わが子が入院している時期(8月・9月)には、8割が小学生、1割が中学生、1割が高校~大学生でした。
小耳症の手術術式
札幌医科大学付属病院では、肋軟骨を使って耳を作ります。最初の手術で肋軟骨を移植して形を作り、2回目の手術で頭に張り付いている耳を立たせていきます。
肋軟骨とは肋骨にある軟骨で、胸のあたりを3cmほど切開して軟骨を取り出します。そのため胸のあたりに傷が残ります。取り出した軟骨を形成してお耳の形にして、移植手術します。3~4時間ほどかかります。
全身麻酔で行うため、手術の2日前から入院して、いろいろな検査を行います。最初に院内の口腔外科を受けてぐらぐらしている歯はないか調べます。ぐらぐらしていると、麻酔をかけるためにホースをくわえたときに折れてしまって喉へ流れてしまうことがあるかもしれません。ですのでグラグラした歯はこの時点で抜かれます。
ほかには心電図や採血などの検査をします。手術前に院内をあちこち動き回るので、2日間かけて病院に慣れていきます。
小耳症手術の手術時間
わが子の場合は、病室を出てから病室に戻ってくるまで、だいたい4時間ほどでした。お子さんのお耳の形によって、手術時間も前後します。
手術から帰ってきた時点では、まだ麻酔が残っていてもうろうとしています。すぐには話せない状態なので(眠っている)、目が覚めるまで待ちますが、だいたい1時間ほどで意識が戻ってきます。わが子は「もう終わったの??」というのが第一声でした。
手術のためにかかった総費用
1回の入院でかかった総費用は、約50万円ほどです。2回の入院で我が家は100万円ほどかかりました。しかし、これは本当に個人差があります。入院した病院は大学病院で、手術代などは健康保険適用のためほとんど費用はかかりません。ですが、我が家はそれ以外の事にかなりお金がかかりました。
その時のかかった費用を、1回の入院・手術のためにかかった費用(交通費や宿泊費含む)をまとめました。こちらの別ページをご覧ください。
学校を休んだ期間
1回目の入院は8月中旬から9月の終わりまでで、約1か月間小学校を欠席しました。この期間は、夏休みが開けた時期で「2学期」のスタート時期なので、できれば2学期最初から出席出来たほうが良かったかもしれません。
2学期は1年の中で一番長い学期で、やることもぎゅっと詰まっています。2学期の途中から参加すると、課題などもまわりだけが進んでおり、娘は取り残された感があったようです。
2回目の入院は6月中旬から7月の夏休みに入るまで欠席しました。この期間は、春の運動会が終わったタイミングで、学年が変わって2か月がたっていたためクラスにも慣れており、スムーズに欠席することができました。
そのまま夏休みになり、夏休み明けにみんなと一緒にスタートができて良かったです。夏休みの宿題もじっくりできました。
手術の当日の流れ
札幌医科大学付属病院での小耳症の耳介形成手術1回目の流れについて紹介します。
我が家の場合ですが、朝9時からの手術の場合、前日の夜21時から絶食となります。飲み物は当日の朝6時までOKです。
朝6時に飲むのが最後になるので(ジュースはだめ、お茶類のみ)、その時間に親が行って飲ませました。子供に任せていると眠っていたり忘れていたりするので、手術の日は朝6時前から病室へ行っていましたね。
それから術衣に着替えて、パンツもT字帯(ふんどしのようなもの)に変えて、時間が来るのを待ちます。娘の場合は極度に手術に対して不安がっていたので、前日に看護師さんや麻酔科の先生と話し合い、手術へ行く前に弱い睡眠薬を飲むことになっていました。
ですので8時ころに睡眠薬を飲みました。それを飲んだらすっかり眠ってしまい、歩けなくなってしまったのでストレッチャーで手術室まで移動しました(歩ける子は歩いて手術室へ行きます)。
手術室には付添人も入れます。前室で付添人も術衣に着替え、帽子をかぶって、手術台までついて行けます。先生が到着すると手術についての簡単な説明があり、麻酔をかける段階になって、付添人はここまで。という指示があり、手術室を退室します。
この時娘はうっすらと目を覚ましており、私の手をぎゅっと握っていました。離れるのが寂しかったけれど、先生にすべてをお願いして私は退室しました。
後から聞くと、娘はこの手術室への移動すら覚えておらず、病室で睡眠薬を飲んだ時点で記憶が飛んでいました。
それから4時間ほど手術がかかり、その間に私はお昼ご飯も食べて、病室で「終わりましたよ」と呼ばれるのを待っていました。
午後1時ころ、「終わりましたよ、手術室まで迎えに行きますか?」と呼ばれ、手術室前まで迎えに行きました。迎えに行くとちょうど手術が終わって出てくるところで、意識はもうろうとしており、それでも私の顔を見ると「ママ、ママ」と連呼していました。
病室へ戻ると酸素マスクをして、そのまましばらく眠っていました。1時間ほどすると目が覚めて、「もう終わったの?」と開口一番言った後は、いろいろとしゃべりだしました。しまいには「酸素マスクがじゃま。外してほしい」というので、看護師さんに聞いたら「あと1時間はつけておいて」と言われました。
意外にも手術後もべらべらしゃべって元気で安心したのを覚えています。その後は夕方ジュースを飲んで、ヨーグルトなども食べていました。
手術の次の日の朝、おかゆなどもしっかり食べられているのを確認すると、栄養を送っていた点滴をはずしてくれました。